誕生死という言葉を聞いたことがありますか。
私は聞いたことがありませんでした、自分が経験するまでは…。
ここでは
- 誕生死とは
- 誕生死までの私の体験
- 誕生死を乗り越えるために
をお伝えしていければと思います。
誕生死とは
流産・死産・新生児死などのこと。母体内で、あるいは出生後間もなく亡くなった子も、一度は誕生したのだ、という思いから作られた言葉。
goo辞書より
誕生死までの体験-不妊治療
私たち夫婦は、数年間子作りをしたにもかかわらず妊娠できなかったため病院で検査を受けることにしました。
すると夫の精子数が極端に少なく、自然妊娠できる可能性はゼロに近いとのことでした。
それから5年間の不妊治療が始まります。
治療方法はいくつがありますし、原因によって治療内容も変わってきます。
不妊原因が特定できない場合などは、体の負担も少なく治療費の負担も少なくて済む「タイミング法」から始めていくことがほとんどだと思います。

タイミング法
一般的に最初に用いられる治療方法になります。
粘液(おりもの)の状態や卵胞の大きさ、血中値などから排卵日を正確に把握し、その日に夫婦生活を営んでもらう事で自然妊娠を目指す方法です。
また、排卵がない場合や、排卵の状態がよくない場合には、卵胞の発育と排卵をうながすよう、排卵誘発剤を併用する方法もあります。医療法人 浅田レディースクリニックより引用
人工授精
人工授精は、人の手を介して男性の精液を女性の子宮内に注入する方法となります。
人工授精は名前からも人為的に妊娠させる印象がありますが、実際は、人の手を介して手助けを行う方法の中で、最も自然な方法なのです。医療法人 浅田レディースクリニックより引用
体外受精
体外受精とは、文字どおり体の外で精子と卵子を受精させ、受精卵を子宮内に戻す方法です。
体外受精は、以前は高度な不妊治療でしたが、最近では一般的な治療方法の一つになってきています。体外受精の一種が顕微授精です。医療法人 浅田レディースクリニックより引用
顕微授精
顕微授精とは、体外受精と同じように体外で受精させ、受精卵を子宮内に戻す方法ですが、受精の方法に違いがあります。
体外受精では、あくまでも精子の力に頼って受精をさせますが、顕微授精はガラス管等を使って精子を卵子に注入させ受精させます。
体外受精よりもより人工的に人の手を介した方法となります。医療法人 浅田レディースクリニックより引用
(※引用させていただいたクリニックで治療した訳ではありません)
私たち夫婦の場合、精子数が極端に少なかったことから顕微授精を勧められました。
ですが、すぐに顕微授精をすることは当時の私たちにはハードルが高く感じられ、人工授精から始めたのです。
2回ほど人工授精を行いましたが、やはり妊娠はできませんでした。
主治医から「体外受精でもむずかしいかもしれません。思い切って顕微授精をしましょう。」と再度勧められ、顕微授精をする決心がつきました。
顕微授精の場合、①排卵誘発 → ②採取 → ③精液採取 → ④受精 → ⑤胚移植・胚凍結 → ⑥黄体維持 → ⑦判定 となります。
一言で「顕微授精」と言っても、それまでに何度も病院に通う必要があります。排卵誘発のために筋肉注射も何度もしなければなりません。
筋肉注射の痛みは我慢できても、妊婦さんを目にしながら病院に通うことが、精神的に辛かったのを覚えています。
誕生死までの体験-顕微授精
顕微授精1回目
受精卵を3つ移植。1つ授精。
妊娠できて喜んでいたのもつかの間、流産となりました。
このショックが大きく、この後1年間は治療する気持ちになれませんでした。
顕微授精2回目
受精卵を3つ移植。3つ授精。
3つ子を宿すことができました。いっぺんに3人も赤ちゃんを授かったことが嬉しくて嬉しくて。
誕生死までの体験-減胎
ところが、担当医から
「3つ子では母体を危険にさらしてしまう。無事に子供を授かるために「減胎手術」も考えたほうがよいでしょう。」
との提案を受けました。
・子宮口に一番近い子を減胎すること
・子供は苦しくはないこと
・減胎した子は時間をかけて子宮内に吸収されていくこと
の説明をうけました。
子供が欲しくて不妊治療をして多すぎたから減胎するの?
そんなこと許されるの?
あまりにも勝手すぎる!
気持ちの整理がつかず随分と迷いましたが、どうしても子供がほしかった私たち夫婦は
「減胎手術 =2人の子供を授かることができる」
と考え、手術に同意することにしました。
減胎手術当日になっても、本当にこれでいいのだろうかと葛藤はつづいており、ずっと泣き続けたままの処置となりました。
子供がほしくて不妊治療をし、3つ子を宿して喜び、減胎手術をし、
そして…
誕生死までの体験-誕生死(死産)
双子を死産した のです。
結果、1人も生きたまま抱いてあげることができなかったのです。
妊娠21週目のことでした。
減胎手術と死産の関連は分かっていません。しかし
「3つ子でも産む」と強い意志を持てなかった自分を責め
減胎手術について、もっと調べるべきだったと自分を責め
悪阻がつらいと思った自分を責め
体調が悪いのに仕事を無理した自分を責め
わずかな出血を放置した自分を責め
全てが自分のせいだと自分を責め続けました。
子どもたちをこの世に無事産んであげられなかったことがこんなにも悲しく苦しいなんて。
世の中全てが灰色のように感じ、悲しみ以外の感情がなくなってしまっていました。
誰も気持ちを分かってくれない。自分は生きている価値がない、子どもの側に行きたいと考えるようになっていました。
誕生死を乗り越えるために
そんな時、誕生死という言葉を知り、この本に出会ったのです。
同じような想いを抱えている人たちの心の持ち方を知ることができたのです。
もし、同じような想いをしている方がいるなら、少しだけでもいいので読んでみてほしいです。
本を読むだけの気持ちの余裕がないことも分かります。
どこかに救いを求めたい気持ちも痛いくらい分かります。
1人でも、少しでも、心を軽くすることができたなら…。
その後の出産
顕微授精3回目
受精卵を2つ移植。1つ授精。
出産に至る。
幸い、無事出産することができました。
子どもを愛おしいと思えば思うほど、流産した子どもや死産した子どもへの愛情も大きくなっていきます。
最後に
あなたは、ひとりぼっちじゃない。
あなたが頑張っているのも知ってるよ。
あなたが折れそうになっているのも気づいているよ。
同じような経験をした人が、どんな気持ちでいるのか知ってみようよ。
あなたが子どもを思うように、あなたの家族はあなたを心配しているよ。
本を読んでみようと思えるようになったら手にとってもらえれば幸いです。